Floating Island

絵画と詩のこと。

香川旅行1

先週、香川県へ1泊2日の旅行に行ってきました。

1日目は丸亀市のMIMOCAへ。ちょうど杉本博司さんの「アートの起源|建築」が開催中で、人もあまりいなかったのでゆっくり観ることができました。

 

杉本さんの作品って、ジオラマを作って写真にしていたりとか、海とか映画館の写真とかしか知らなくて、一番最近見たのは確か2009年にギャラリー小柳でやっていた「Lightning Fields」だったと思います。今まで雑誌で目にしてきた写真とは異なる展示だったので、確か随分驚いた記憶があります。

そのときは科学者のようなことをする人だなぁと漠然とした感想を持ったものでしたが、作品全体が何処か宗教めいているのを感じました。

 

今回の展示も根底に宗教観があって、たぶんそれは教会や建築の写真や幔幕、蝋燭の炎といった被写体から受けるイメージなんだと思います。

 

中でも、蝋燭の炎が燃え尽きるまで露光して1枚のフィルムに写したものをまた同じように蝋燭で照らして陰を作るといった「陰影礼賛」は面白かったです。

洞窟をイメージした囲いの中で燃えていた蝋燭は、監視スタッフの方に尋ねたところ、たしか福井県産の櫨(はぜ)を使ったものを作家自身が選んで使用したとのことでした(高級品だそうです)。

展示会場にある蝋燭たちはおおよそ3時間で燃え尽きるらしいのですが、煙が少なくてロウも全然垂れていなくてとても美しい蝋燭でした。

じっと見つめていると、なんとも心地よかったです。自分を囲んでくれる暗がりがあり、わずかな灯りがあるというのは、無防備な自分が外から守られるような心地がしました。

 

火を使ったり、囲いを作ったり…それはとても日常的なものだと思っていましたが、こうして「アートの起源」として提示されることで、実はアートというのは暮らしの中にあるものを極力シンプルにして取り出そうとして現れた形なのかもと、ちょっと考えたりしました。

 

3階の展示室に入っていく廊下に映像作品があるのですが、ちょうどいい早さで切り替わっていて感激しました。変なことで感激しているのかもしれませんが、イライラしない速度で、しかもちゃんと観られるというのはすごいですよね。

 

展示を観たあとは、3階のカフェでお茶をしました。

 


初出:2011年4月22日